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コラム

コラム:楽譜が読めるからって、エラいわけじゃない

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あるチューバ吹きの誠実

中学の吹奏楽部に、同級生のチューバ吹きの男の子(以後石橋くんとします)がいました。

石橋くんは憧れている2つ年上の桑原先輩に誘われて、あまり音楽に興味がなかったのですが吹奏楽部に入部しました。石橋くんは楽譜が全く読めませんでした。そして元々不器用だったこともあり、1年経ってもなかなか成長しませんでした。

桑原先輩の卒業

桑原先輩の音はとてもキレイで繊細で、それでいて力強いものでした。石橋くんは桑原先輩の音を追いかけて、ひたすら地道に練習を重ねました。彼はいつも言っていました。「桑原先輩の音はこんな音じゃない」と。

2年生になっても石橋くんは楽譜に指番号を書いていました。リズムが分からない部分には「タッタカタッタカ」とカタカナをふっていました。「あいつ、いつまでたっても楽譜が読めないから使えない」とひとつ年上の先輩からバカにされていました。

しかし、ひとつ年上の先輩は「楽譜が読めるから自分の方がうまい」とでも思ったのか、あまり練習をしていませんでした。

ひとつ年上の先輩はあっさりと石橋くんに抜かれてしまいました。チューバのソロは2年生ながら石橋くんが担当することになりました。

時間があいたらロングトーン

このころから、石橋くんは少しでも時間があればロングトーンをしていました。それも一音一音を大切に、確かめるように吹いていました。

きっと桑原先輩の音を思い出しながら吹いていたんだと思います。とてもゆっくりと丁寧にロングトーンをしていました。

 歴代で1番うまい

3年生になり、最後の演奏会の楽譜にも、苦手な音には指番号が書いてありました。石橋くんのチューバの音はとても優しくて柔らかく、そしてみんなの土台となる力強さも持っていました。とても素晴らしい演奏でした。

引退のとき彼が言った言葉。「桑原先輩には追いつけなかったけど、高校に行ってもがんばります。」

それを聞いた顧問の先生は、私にそっと言いました。

「あいつ、とっくの昔に桑原を追い抜いているのに、気付いてないんだな。歴代のチューバで1番うまいのに!」

でも本人には内緒にしてろと言われました。「調子に乗って練習しなくなるから、一生言わない」だそうです。

 

楽譜が読めなくても、楽器はうまくなれる

楽譜が読めるからと、楽譜を読めない人を「けなす」人がいます。そういう人に限って、楽器の基礎練習をおろそかにしたりするんですよね。

しかし、楽譜が読めたところで、その楽器の本当の音色が出せるわけではありません。

人をけなしている時間があるなら、ロングトーンをしましょう。楽譜が読めない人がいるなら、教えてください。リズムが分からなければ、一緒に歌ってください。あなたの隣にいる部員が上達すれば、吹奏楽部全体のステップアップになります。

 

もちろん、楽譜が読めるように努力は必要

吹奏楽はひとりで演奏するわけではありません。大勢の仲間と合わせることも大切になってきます。音の長さやリズムをしっかりと覚えましょう。「なんとなく」のリズムだと、多人数で合わせることはとても難しいことです。

しかしその分、複雑なリズムやハーモニーをしっかりと合わせられたときの音は、聴いている人の心に響く波となって届きます。

1番カッコいいのは、「楽譜も読めて、楽器もうまい!」です。

 

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